#011 音楽著作権に関係する主な登場人物(その7)「著作権等管理事業者」(2)

今回は、「音楽著作権に関する主な登場人物」の「著作権等管理事業者」の第2回です。

<「『著作権等管理事業者』とは?」の続き>
前回は、「著作権等管理事業者」が、「音楽著作権」の関係者の間で、何のために、どのようなことをするかを、ざっと説明しました。

「著作権等管理事業者」は、「作詞家・作曲家」や「音楽出版社」といった楽曲の権利者と、それらの楽曲のさまざまな使用者、それぞれの利便のために、権利者に代わって両者の窓口となって著作権を管理する人たちであると言える、といった説明でした。

前回の説明は、「作詞家・作曲家」や「音楽出版社」にとって、「著作権等管理事業者」がどんな存在かについての説明でしたね。

これを、別の言い方で説明してみましょう。

「著作権等管理事業者」は、音楽著作権に関して言うと、著作者や音楽出版社などとの間の管理委託契約に基づいて、著作者や音楽出版社に代わり著作物使用者に楽曲の使用許諾や著作権使用料の徴収などの著作権の管理を行い、著作者や音楽出版社に著作権使用料の分配を行う事業者です。

<「著作権等管理事業者」と呼ぶ理由>
なぜ「著作権等管理事業者」と呼んでいるかを考えると、現在の流れが分かるかもしれません。

「著作権等管理事業者」が行う「著作権等管理事業」は、法律のことを言えば、2001年に施行された著作権等管理事業法に規定されている事業であり、「著作権等管理事業者」はこの法律に基づいて文化庁長官の登録を受けた事業者のことを言います。

「著作権等」と「等」が付いているのは、法律上、「著作権等管理事業者」が著作権および著作隣接権を管理する者のことを言っているためです(今回のブログでは著作隣接権を管理する事業者は出てきませんので、「等」については関知していただく必要はありません)。

2001年以前は、1939年に施行された「仲介業務法」(「著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律」)に基づき、音楽著作権は単一の団体(1940年に業務を開始しているJASRAC)が集中管理していました(当時は、他人の著作権を管理する事業は文化庁長官の許可が必要で、その許可も著作物の1つの分野では原則として1つの団体にしか与えられませんでした)。

これを、他の事業者(株式会社なども可)が新規参入することができ、著作者が自ら著作権管理団体を選択することができるようにするため、2001年に著作権等管理事業法が施行されました。

「著作権等管理事業」に参入する規制についても、2001年までは許可制であったものが、それ以降は登録制に変更されています(文化庁「著作権等管理事業法の制定とその背景」、「著作権等管理事業法と仲介業務法の比較」など)。

新規参入の制限が緩和されたことにより、市場原理が働き、コストの低減やサービスの向上など、音楽の著作物を作る人や使う人がいっそうメリットを享受できることが期待されています。

<「音楽の著作物」に関する「著作権等管理事業者」における主なプレイヤー>
これまでのところでも触れているとおり、2001年までは他人の著作物を管理する事業を行うためには文化庁長官の許可が必要で、その許可も1つの著作物の分野に1つの団体しか与えられませんでした。

音楽の著作物については、1940年に業務を開始しているJASRACがその1つの団体だったのです。

今も「著作権管理団体」と呼ばれることがありますが、社団法人であるJASRAC(2012年に一般社団法人に移行)のみが著作権の管理事業を行う団体だった2001年以前の呼び方がそのまま使われているからでしょう。

「一般社団法人日本著作権協会」が「JASRAC」と略されるのは、彼らの英語表記が「Japanese Society for Rights of Authors, Composers and Publishers」であるところから来ています。

もともとは「Japanese Society for Rights of Authors, Composers」(1957年からの正式英文名称)で「JASRAC」だったのが、1965年に「音楽出版社」が正会員に選ばれたことから「Publishers」も追加されたのだといいます。

ちなみに、アメリカの著作権管理団体の1つである米国作曲家作詞家出版者協会(American Society of Composers, Authors and Publishers)は、1914年設立で100年超の歴史を持ちますが、略称では「ASCAP」と呼ばれています。名称での順番が「Composers」(「作曲家」)と「Authors」(「作詞家」)とで異なるためか、日本のはJASCAPとは呼ばれなかったのですね(たぶん)。

音楽の著作権を取り扱っている著作権等管理事業者には、このJASRACのほか、主なものとして、2001年の規制緩和以降に新規参入した株式会社NexTone(ネクストーン)などが登録され、事業を行っています(株式会社イーライセンス(e-License)と株式会社ジャパン・ライツ・クリアランスが2016年2月1日付で事業統合及び会社合併を行い、株式会社NexToneとなっています(NexToneお知らせ「株式会社NexTone発足のご挨拶」))。

著作権等管理事業者の登録状況については、文化庁「著作権等管理事業者の登録状況」で確認することができます。

音楽の著作権を取り扱う主な著作権等管理事業者として、JASRACとNexToneを挙げましたが、これらの主な違いについて簡単に説明します。

JASRACは創設70年以上の歴史のある著作権等管理事業者ですので、管理作品数などではNexToneと大きな違いがあります。著作権者との間で結ぶ管理委託契約の契約形態も、JASRACが信託契約であるのに対して、NexToneは委任取次契約です。また、JASRACが取り扱う支分権・利用形態のうち、NexToneは演奏権以外の支分権・利用形態を扱っています。管理手数料の料率などもそれぞれで異なります。(「支分権」という言葉については、改めて別の機会に説明します。)

(次回も、音楽著作権に関係する主な登場人物である「著作権等管理事業者」の続きを説明する予定です。次回もよろしくお願いします!)

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