#029 音楽著作権に関係する主な登場人物(その25)「著作権使用者」(10)「BGMを流す人たち」

前回は、「著作権使用者」を利用主体別に見ていくなかで、「カラオケ店」について説明しました。

今回から、何度かご覧いただいている図「音楽著作権使用料の一般的な流れ」の「その他」にはどんな人がいるかを見ていくことにします。今回は「BGMを流す人たち」を見ていきます。

<「BGMを流す人たち」について>
今回は「音楽著作権使用料の一般的な流れ」の図では「その他」に含まれる人たちです。

<一般的に、音楽を利用する場合、許諾手続き・使用料支払いが必要>
一般的に、他人が作った音楽を流す場合、「音楽著作権」が働きます。つまり、権利者から「著作権」の使用許諾を受け、「著作権使用料」の支払いを行うという過程が必要となります。また、以前も説明しましたが、自分が作った音楽であっても、原則的には、JASRACなどの「著作権等管理事業者」に管理委託している場合などは、「著作権等管理事業者」に使用許諾などの手続きが必要です。

<一定の「例外的な」場合は、音楽を自由に使用可能>
一方で、自分が買ってきた市販の音楽CDを再生し、その音楽を個人的に楽しむ場合などは、許諾手続きや使用料の支払いが一切不要であることは言うまでもありません。

また、私的使用のための複製(自分自身や家族など限られた範囲内で利用するために著作物を複製すること)など、一定の場合には、著作権は制限され、許諾申請不要で自由に使用できることになっています。ただ、これは、後の回で説明しますが、一定の「例外的な」場合に著作物が自由に利用使える場合です(参考:文化庁ウェブページ「著作権制度の概要」「著作物が自由に使える場合」など)。

<お店などで音楽を流す場合は、「許諾手続き・使用料支払いが必要」な場合>
基本的に、お店などの施設で、市販の音楽CDやインターネット配信された音源などにより、BGM(background music = 背景音楽)を流す場合、JASRACなどの「著作権等管理事業者」に管理委託されている楽曲などについては、使用許諾・「著作権使用料」支払いが必要となります(JASRACの取扱いについては、JASRACウェブページ「各種施設でのBGM」をご参照。なお、この取扱いでは「著作権」のうち「演奏権」が関係する場合が多いですが(「伝達権」が関係する場合もあります)、本稿執筆時点(2017年4月30日)ではNexToneでは、「演奏権」を管理していません。以下は、主に、JASRACに管理委託されている楽曲について説明します)。

お店などの施設で流すBGMには、飲食店、デパートなど一般の店舗や、ホテル、旅館など宿泊施設で流すもののほか、駅、空港、客船ターミナルなどの施設内でのBGMや駅ホームでの列車発着メロディも含まれます。

JASRACにBGMの利用申込みを行うと、JASRACはお店の経営者との間で年間契約を締結します(1ヶ月の契約や1曲1回での申込形態もあります)。インディーズの音楽クリエイターやアーティストの皆さんで、カフェなどのお店を経営している方は、お店でBGMを流す場合、同様に、JASRACと契約を取り交わすことになります。

<お店などによるJASRACでの手続きが不要となる場合>
JASRACでの取扱いでは、JASRACウェブページ「各種施設でのBGM」に示されているとおり、以下の場合にはお店などの施設による手続きは不要です。

1. 有線音楽放送など、BGMの音源提供事業者から音源の提供を受けている場合
2. カラオケや生演奏等で既にJASRACと契約している場合
3. テレビやラジオの放送をそのまま流している場合
4. 教育機関、福祉・医療施設での利用
5. 事務所・工場等での主として従業員のみを対象とした利用
6. 露店等での短時間で軽微な利用

1.はBGMの音源提供事業者がお店などに代わってBGMの「著作権使用料」を支払っているため、市販の音楽CDを使ってBGMを流してもお店などが別途手続きをする必要はありません。

3.は著作権の制限規定(著作権法38条3項2文)によりますが、インターネットラジオなどインターネット上の送信を受信して流す場合、放送を録音・録画して流す場合、通常の家庭用受信装置ではなく特別な音響設備を利用する場合は、手続きが必要となります。

4.〜6.は、営利を目的としていてもJASRACが、当分の間、使用料を免除しているためとされます。

なお、非営利・無料で、実演家に報酬が支払われない場合も、JASRACでの手続きは不要です。

「実演家」・「レコード製作者」が持つ「著作隣接権」との関係では、単に、市販の音楽CDを再生してBGMとして流すだけであれば、「実演家」や「レコード製作者」に利用の許諾を受ける必要はありません。ただ、市販の音楽CDからCD-Rにコピーしたり、インターネット配信をiPhoneなどの携帯端末やiPodなどの携帯音楽プレイヤーにコピーしたりした音源を使って、お店などでBGMとして流す場合は、先ほど述べた「私的使用のための複製」の範囲を超えるため、複製について「実演家」・「レコード製作者」など著作隣接権者からの利用許諾が必要となることに注意が必要です(JASRACウェブページ「お店でBGM を流すとき、 著作権の手続きはお済みですか?」)。

次回も、引き続き、「著作権使用者」をそれぞれの利用主体別に見ていきます。

(次回もよろしくお願いします!)

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