#037 音楽著作権に関係する主な登場人物(その33)「著作権使用者」(18)「音楽を広告に使う人たち」(1)

何度か見ていただいている参考イメージ図「音楽著作権使用料の一般的な流れ」の「その他」にはどんな人がいるかを見ています。

インディーズの音楽クリエイターやアーティストのみなさんの楽曲も、CMなどの広告に利用される場合があります。今回から「音楽を広告に使う人たち」について見てきています。

インディーズの音楽クリエイターやアーティストのみなさんご本人が広告主になる場合以外は、ご自身で手続きをすることはないと思いますが、(音楽出版社やレコード製作者を通じての場合も含め)著作者あるいは著作隣接権者として、広告主や広告会社から確認や許諾を求められることがありますので、その点にご留意しながらご覧ください。

<参考:イメージ図「音楽著作権使用料の一般的な流れ」>

<音楽が広告に使われる場合の2つの形態>
音楽が広告に使われる場合には、大きく2つの形態があると考えられます。

ひとつは、既存の楽曲を広告に使う場合、もうひとつは、CMのために書き下ろされた楽曲(「CM委嘱」の作品)やCD・音楽配信などのプロモーションを目的としてCMに利用する新規の楽曲(「CMタイアップ」の作品)を使う場合の2つです。

今回は、既存の楽曲を広告に使う場合について説明し、次回以降に「CM委嘱」と「CMタイアップ」について説明します。

<CMで楽曲を利用する際の手続き(その1)(既存の楽曲を広告に使う場合)>
CMで楽曲を利用する際は、基本的に、広告主あるいは広告会社が楽曲の利用者として利用許諾の手続きを行います。

以下では、主に、JASRACでの取扱いについて、説明します(JASRACサイトページ「CMの制作、放送、インターネットCM配信」、「広告目的の録音物・映像ソフト・出版物などの制作」、「CMと音楽著作権」をご参照ください)。

JASRACに管理委託している楽曲の場合の利用許諾手続きには大きく分けて2段階あります。ひとつは、CM制作に係る広告目的複製利用手続きと、もうひとつは、CM放送・配信などCMの展開方法ごとの利用手続きです。

つまり、広告目的の制作にあたっての音楽著作物の「複製」のための手続き(「CM制作に係る手続き」)と、音楽著作物が「複製」された広告目的の制作物(以下では、これらの制作物を総称して「CM」として説明します)を展開して提供していくための利用の手続き(「CM放送・配信などCMの展開方法ごとの利用手続き」)が必要となるということです。

今回は「CM制作に係る手続き」を説明し、「CM放送・配信などCMの展開方法ごとの利用手続き」については次回以降に説明します。

<CM制作に係る手続き>
・事前確認
JASRACなどの著作権等管理事業者に管理委託された楽曲については、他の利用形態と同じくJASRACなどへの利用許諾手続きが必要となりますが、他の利用形態と異なるのは、その楽曲の著作者(音楽出版社がある場合は音楽出版社)に、利用の可否を含めた事前確認が必要であることです。

他の利用形態の場合は、利用許諾申請に応じてJASRACなどが利用許諾をしますが、楽曲がCMなどの広告に利用される場合は、著作者(音楽出版社がある場合は音楽出版社)がCMに利用されることを好まない場合や利用を許諾する場合でも広告の形態(放送、配信、上映、演奏(再生)、展示・掲示、配布など)などについて限定をかける場合などがあり、楽曲の利用可否や利用可能な場合の使用料(広告目的複製使用料)額などの条件について著作者(音楽出版社がある場合は音楽出版社)に確認する必要があります(音楽出版社がある場合、音楽出版社は著作者に確認することが想定されています)。

なお、広告目的複製使用料の額は、2016年3月31日までは放送・配信や外国曲のビデオ上映・映画上映、展示・掲示、新聞等での配布に係る複製に対して使用料の指し値が適用されていましたが、2016年4月1日以降は、これら以外の展開方法、つまり、内国曲のビデオ上映・映画上映、CD・DVDへの録音なども含めた複製全般を対象に使用料の指し値が適用されています。

・申込書(広告目的複製利用申込書)の作成・提出
事前確認において利用許諾について合意した条件などの内容を基に、広告主あるいは広告会社は広告目的複製利用申込書を作成し、JASRACに提出します。

その際に、合意した内容を申込書に記載します。合意した内容には、利用の内容、すなわち、放送・配信、上映、演奏(再生)、展示・掲示、配布などの展開方法や、展開方法が、放送であれば利用媒体・方法・期間・地域が、配信であれば利用サイト・方法・期間などが含まれ、それぞれ同意を得た著作者(音楽出版社がある場合は音楽出版社)とともに申込書に記載します。あわせて、広告目的複製使用料としてそれぞれの著作者(音楽出版社がある場合は音楽出版社)と合意した金額を記載します。JASRACは申込書記載の合意条件を著作者(音楽出版社がある場合は音楽出版社)に書面で確認した後に、申込書の利用申込者に請求書および許諾書を発行します。原則として、請求書発行日から30日以内に、利用申込者は広告目的複製使用料をJASRACに支払います。

<既存の「音源」をCMに使用する場合は、著作隣接権者からの許諾も必要>
CM制作の際に、既存の「音源」を使用する場合は、上に挙げた著作者(音楽出版社がある場合は音楽出版社)への確認とは別に、著作隣接権者(「音源」の原盤権を持つ「レコード製作者」や歌手・アーティストなどの「実演家」)からの許諾も必要となります。通常の場合は、「レコード製作者」(レコード会社である場合が多い)に連絡して、既存の「音源」のCMへの利用の許諾を得る必要があります。

<次回の予告>
次回は、「音楽を広告に使う人たち」の「CM放送・配信などCMの展開方法ごとの利用手続き」について見ていく予定です。

(次回もよろしくお願いします!)

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