#036 音楽著作権に関係する主な登場人物(その32)「著作権使用者」(17)「ミュージックビデオを製作する人たち」(6)

何度か見ていただいている参考イメージ図「音楽著作権使用料の一般的な流れ」の「その他」にはどんな人がいるかを見ています。前回までの5回にわたり「ミュージックビデオを製作する人たち」について見てきています。

前回まで、ミュージックビデオは著作物の種類として「映画の著作物」と考えられること、一般の「著作物」と「映画の著作物」とではどんな点が異なるのかについての説明を通して、その著作者や著作権者が誰かということ、そして、「著作物」と「映画の著作物」の保護期間が異なることについて見てきました。

音楽の「著作者」や「著作権者」、ミュージックビデオの「著作権者」などが、ミュージックビデオについて気をつけるべきポイントを説明してきました。

今回はその補足として、ミュージックビデオがインターネット上で利用される際にミュージックビデオの「著作権者」などが気をつけておくポイントを簡単に見てみると同時に、映像を伴うか否かに関わらず「楽曲」一般が放送やインタラクティブ配信で利用される際の、著作権等管理事業者が行っている「楽曲」の利用状況の把握について見てみます。

<参考:イメージ図「音楽著作権使用料の一般的な流れ」>

<(補足)放送やインタラクティブ配信での「楽曲」の利用状況の把握について>
ミュージックビデオで使われている「楽曲」のみならず、映像を伴わず「音源」のみで利用される「楽曲」についても、JASRACなどの「著作権等管理事業者」に管理委託されている「楽曲」(= 「音楽の著作物」)が、国内において、放送やインタラクティブ配信で利用される場合、放送事業者(放送局)やインタラクティブ配信事業者(包括契約を締結している場合)はその利用状況を報告しています。

JASRACを例にとると(本稿執筆(2017年6月18日)時点)、放送の場合もインタラクティブ配信の場合も、利用したすべての楽曲を報告する「全曲報告」が行われています(JASRACサイトページ「放送 – 放送の利用曲目報告」や「インタラクティブ配信 – 増加する利用曲目報告とJASRACの対応」のほか、NexToneサイトページ「放送・有線放送での音楽利用について」などをご参照)。

利用状況の報告に際して、現在は、フィンガープリント技術(楽曲の音声波形などの情報の特徴をデータ化し、楽曲を特定する技術)が多く用いられていますので、「楽曲」の「音源」がフィンガープリント化されているかどうかがポイントとなります。

(「フィンガープリント」という言葉自体は、日本語で「指紋」の意味を持ちます。ちなみに、近代の指紋認証技術の創始者の一人として名前が挙げられる英国人医師・宣教師のヘンリー・フォールズは、19世紀末に東京に滞在していた時に日本の拇印の習慣に興味を持ち指紋研究を始めたと言われています(「中央区まちかど展示館 築地・八丁堀コース」の第12番)。)

フィンガープリント技術の進展により、「楽曲」の利用状況把握の精度は上がってきているようですが、「音源」がフィンガープリント化されていないと利用が把握されない場合もあるようです。

メジャーレーベルやインディーズレーベルの一部の作品は「音源」のフィンガープリント化が進んでいますが、インディーズレーベルの中にはフィンガープリント化がなされていないところもあるようです。

<(補足の補足)Google社のYouTubeの場合>
ミュージックビデオを動画投稿(共有)サイトにアップロードする場合、YouTubeをご利用の方が多いと思います。

YouTubeはJASRACとの間で利用許諾契約を締結しているため、JASRACに管理委託している「楽曲」を、YouTubeにアップロードすることは可能であることは以前に説明しました(拙稿#024参照)。

つまり、「著作権」については、「楽曲」の利用状況に応じて、YouTube(Google社)が、JASRACと締結している利用許諾契約に基づいて、「著作権使用料」を払うことになっています。

このとき、ミュージックビデオの著作権者で、YouTubeコンテンツマネージメントプログラムを利用していれば、YouTubeにて第三者によって作品が使用された場合(ビデオが投稿された場合)に、Google社に対しそのビデオの削除要請、あるいは、ビデオで使われる「楽曲」の「著作権使用料」とは別に、投稿者が得る収益の共有を求めることができます。その際にはYouTubeコンテンツIDの登録が必要となります。

<次回の予告>
次回も、「音楽著作権使用料の一般的な流れ」の「その他」について、別の登場人物について見ていく予定です。

(次回もよろしくお願いします!)

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