#018 音楽著作権に関係する主な登場人物(その14)「音楽アーティスト」

今回は「音楽アーティスト」について見てみます。

「アーティスト」は一般的には芸術家のことを指しますが、ここでの「音楽アーティスト」とは、「音楽」の「アーティスト」、つまり「歌手(シンガー)」や「演奏家(ミュージシャン)」など、音楽を歌ったり演奏したりする人たちの総称としてお考えください。

<「音楽アーティスト」は、どんな役割を果たしている?楽曲を公衆に「伝達」する重要な役割を果たしている!>

インディーズの音楽クリエイターやアーティストの皆さんのうちにも、「作詞・作曲」を行いながら、シンガー・ソング・ライターなどとして、歌ったり演奏したりする方も多いと思います。

「作詞家・作曲家」の回で解説しましたが、「作詞・作曲」をした場合には「作詞家・作曲家」として、「著作者」の権利が認められています。この「『著作者』の権利」が、「著作権」ということでしたね。ですから、シンガー・ソング・ライターは、自分の創作した楽曲の「創作行為」については、「作詞家・作曲家」としての権利を持ちます。

歌ったり演奏したりする場合にはどんなことが考えられるでしょうか(即興演奏や即興の歌唱は、作曲(それとともに作詞)が伴うことがあるかもしれませんが、今回の説明では、そのような場合を除きます)。

既に創作された楽曲を歌う場合は、歌唱の技術がどんなに秀でていても、それだけでは、歌手は作曲をしたということにはならないでしょう(前々回に考えた編曲にあたる場合は、別途編曲になるかどうかが検討されるかもしれませんが、多くの場合は編曲にもあたらないのだろうと思います)。

しかし、楽曲、つまり「音楽の著作物」は、どんなに良い作品であっても楽譜や歌詞だけではその良さが伝わらないことがあります。そのため、その楽曲を、誰が歌うか、誰が演奏するか、誰がパフォーマンスを行うかということが、楽曲が人に伝わっていくために大きな影響を及ぼしていると考えられています。

つまり、言い方を変えると、歌手や演奏家といった「音楽アーティスト」は、「音楽の著作物」を人に伝えていく、公衆に伝達していく重要な役割を果たしていると考えられているのです。

<「音楽アーティスト」には、権利はある? あるとしたら、何という権利?>
音楽以外の芸術でも、例えば、脚本もどんな俳優が演じるかによって、その作品の伝わり方が変わってくることがあるでしょう(楽曲は「音楽の著作物」であるのに対し、脚本は「言語の著作物」の1つです)。

公衆に伝達する担い手が必要な著作物については、「創作」も重要ですが「伝達」も重要だということです。

これらの著作物について、「伝達」を行う人たちのことを、「パフォーマンスする人(パフォーマー)」という意味で、「実演家」と呼びます。

そのような考えのもと、歌手や演奏家を含む、著作物を伝達する重要な担い手である「実演家」には、創作者に対して与えられる「著作権」は与えられませんが、創作に準ずる重要な行為を行った者として、著作権法により、別の権利が与えられています。

「著作権」とは異なる、この「別の権利」のことを、著作権法では、「著作隣接権」と言っています。

シンガー・ソング・ライターは、自分の創作した楽曲については「作詞家・作曲家」としての権利を、自分の歌唱・演奏については「実演家」としての権利を持つことになります。

「著作隣接権」については、今後、詳しく説明していきますが、今回は、2点、つまり、「音楽アーティスト」にも権利はあること、その権利のことを、「実演家」としての権利である、「著作隣接権」ということの2点を覚えておいていただくことにします。

<「指揮者」も「実演家」!>

若干の補足ですが、「実演家」は著作権法では「俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行う者及び実演を指揮し、又は演出する者」をいうとしています。

ですので、音楽について言えば、クラシック音楽など、オーケストラで指揮棒を振って指揮をする「指揮者」にも「著作隣接権」が認められています。

冒頭で「音楽アーティスト」は「歌手(シンガー)」や「演奏家(ミュージシャン)」の総称と言いましたが、その意味で、「指揮者(コンダクター)」も「音楽アーティスト」に含んで考えていただいて良いわけです(今後このブログで「音楽アーティスト」 = 「実演家」というとき、「歌手」や「演奏家」に加え、「指揮者」も含めて説明することになります)。

(次回もよろしくお願いします!)

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